アフリカ第二の高峰、待望のケニア山に登った。
ご来光を見るために早朝は真っ暗な中をヘッドランプを点けて登ったのだが、ふと足を止めて今いる状況を眺めてみると、笑いが込み上げてきた。
標高は4800m付近、ちょっとシリアスな北壁ルート、気温は氷点下で靴はスニーカー、ガイドもポーターもなし、下に落ちたらまっさかさま、おれって馬鹿だなあ、はははーって思った。
しかもルートをちょっと間違えて、下からあがってきたグループに「そっちじゃないぞー」って教えてもらった。だって、ねえ、暗くてみえねえし・・・
アフリカの標高1位はキリマンジャロ、神秘度の1位は月の山ルウェンゾリ、そして険しさと楽しさではこのケニア山が一番だと言われている。このケニア山、正式な山頂は5199mのBatianだが、一般の登山者が登れるのは4985mのポイントレナナまで。なかなか難しい山なのである。
一般には西側のナロモルルートが使われているが、「もっとも景色がすばらしい」という言葉に惹かれ、東のチョゴリアルートをとった。
ゲートまでは32Kmの林道、20Km地点までは車で行く。道中今まで見たこともない動物の糞が落ちていた。聞くとゾウだという。わおっ。
チョゴリアではお茶が栽培されており、お茶畑より上に上がると熱帯特有の背の高い細々とした木々。「ホーホー」と鳥の声がこだまする。
その熱帯の林は2500m付近で終わり、面白いことに竹の林となった。このアフリカで、しかも赤道直下で竹林を見ることになるとはまったく思ってもみなかった。
ゲートをくぐり、苔むした森を抜けると、高山植物!?の中を進むことになる。ジャイアントロベリアなどの独特な花、その背後にケニア山の険しい山頂。うーーん絵になるなあ。
その険しいピークを目指し、いくつもの山上湖を眺めながら進んだ。左は切り立った崖、その崖の執着点にはエメラルドグリーンのミカエルソンレイク。その湖から流れ落ちる滝、背後には雪渓を抱いたいくつもの4000m峰が聳える。
「うっおおー、ふい〜」
驚愕淡々・・・
登頂前夜、4600mでテントを張ったためか、頭がズキズキと痛くて眠れない。高山病だ。
朝4時、登頂アタック(そんなかっこいいもんじゃナイネ)を開始する。昨日の頭痛がうそのように快調だった。5000mなんてこんなもんかって思った。雪の残る北壁を登り Point Lenana(4985m)から日の出を眺める。
日の出のすばらしさもさることながら、なんと、ここから、遠く南は300kmも離れているキリマンジャロが見えたのだった。
「さあ、次はあれだ」
と僕は心の中で呟いた。
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