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01.Warm heart of Africa
02.天空の孤島、ムランジェ山
03.貰ったお札は1700枚
04.環境問題
05.沈没天国、ハラレ
06.無人のトレッカーパラダイス
07.ブラックアフリカ一、壮大な遺跡?
08.ビクトリアフォールズ
09.カラハリ砂漠の宝石、オカバンゴ
10.天空の王国
11.アフリカ民族最終回、ヒンバ族
12.アフリカ病−第二ラウンド
13.Cape of Good Hope

 
 
 
 

5. South Africa
mail_04 / 6th,JUN,2003 @ Harare : ZIMBABWE
環境問題

 

たまにはまじめな話題に取り組んでみる。
アフリカで環境問題を考えた。

日本にいて世界の環境問題を考えたとき、僕はこのアフリカを世界的に見て環境に多大なダメージを与えている劣等生的地域だと思っていた。
テレビに映し出されるのは人口爆発問題や、薪を燃料とすることによる(二酸化炭素)地球温暖化現象、などなど。
しかし、10ヶ月以上この大陸を旅して思うのは、こんなにエコな大陸は他にないのではないだろうか、ということである。
田舎の町に行くと、時に「ここに究極のエコがある」とさえ思うことがある。

アフリカがとあるヨーロッパの一国のように、環境優等生だと言っているのではない。確かに、ここにも問題はたくさんある。
料理を作る燃料は主に薪だし、寒いときに暖をとるのも薪。その薪を売ることによって現金収入が得られた日には、樹齢何千年もの立派な大木であろうが問答無用、バシバシ切る。それが国立公園の中であろうがお構いなしだ。そんな光景今までくさるほど見てきた。
次の問題はゴミ。これは同時に道徳やモラル、教育の問題であるかもしれないが、みんなどこでも平気でゴミを投げ捨てる。バスの窓からポイポイゴミを外に投げ捨てるので、道路の脇はプラスチック製のゴミだらけ。
排気ガスも問題だ、アフリカでは日本ではいらなくなった、化石のような車が走っている、その化石が出す真っ黒なガスは大気にさぞかし悪いに違いない。
その他、焼畑問題などなど、挙げればきりがない。
これらは先進国の誰もが思いつくアフリカの悪い一面かもしれない。

しかし、アフリカで実際に彼らの生活に触れてみると、日本と比べてそれがいかに環境にローインパクトであるか、ひしひしと感じざるを得ない。
屋台でフライドポテトを買う、包んでくれるのは古新聞紙や使用済みのノートの切れ端。
市場で野菜を2kg買う。大抵は袋なんてくれない。袋は別の売店でお金を出して買うか、自分で持っていくしかない。現地の人は多少破れてでもその袋を何度も使う。だってポリ袋を買うお金で、時にバナナが5本買えてしまったりするのだ。
コーラのビンは日本のビールと同じで全て使いまわし。缶は値段が2倍以上するので誰も買わない。
1.5?のペットボトルが空になると、きまって誰かに頂戴と言われる。家で油入れなどにするのだ。この空になった様々なボトルを集めて、洗っては販売してしまうお店だっている。
缶詰の缶だって貴重だ、空き缶になったら長い棒を溶接して「お玉」の出来上がり。
車のタイヤは溝がなくなってツルツルになるまで使う。それでもここでタイヤの人生は終わらない。このタイヤからゴムサンダルや紐を作ってしまうのだ。
恐れ入りました。

この究極のリサイクルは物の少ない田舎ではもっと加速する。マラウィのケープマクレアという小さな漁村でのこと。
子供がビニール袋にノートを3冊入れて学校に行く。彼のビニールの「かばん」、どこかで見覚えがあると思ったら、「Sugar 1kg」と書かれた砂糖袋のリサイクルだった。
ポリ系は全てリサイクル、出るゴミは生ゴミばかり、そしてこの生ゴミもリサイクル。ヤギがきれいに食べるのだ(そのヤギを人間が食べる)。
牛乳の入れ物、あの角ばったボール紙。子供がビンの蓋をタイヤにして車を作って遊んでしまう。日本の子供のようにテレビゲームがあるわけではない、遊び道具はほとんどゴミから作ったものだ、サッカーボールだって手作りだ。それでも子供は日本人よりずっと幸せそうな笑顔を見せる。
この村、電気もなかった。灯油ランプを使っている家もあったが、夜9時ごろ通りを歩くとゴーストタウンのように静かだ、もうみんな寝てしまっていた。
僕らの宿には発電機があったが、それも9時には消灯。
この村に比べると、日本で言われているエコなんてままごとみたいだ。

日本でよく僕はキャンプに行く。大自然の中だ。
必要でないのに薪を燃やしキャンプファイアだと喜ぶ。4、5人で1泊しかしないのに、出るゴミの多さに驚く。全てが過重包装だ。
自然の中でのキャンプでこれだ、普段一人一人が都会でどれだけ環境にインパクトのある生活を送っていることか。

ウガンダのキャンプ場で4日間、自炊生活をした。出るのは生ゴミだけだった。
村で市がたつのは週2回。泥だらけのジャガイモを買っても、バナナを買っても、生肉でさえも、だれも袋なんてくれない。

これでも先進国がアフリカに対して、えらそうに文句をたれ、指導する資格があるのか、とすら思ってしまう。
アフリカの車の排気ガスがどんなにひどくても、走っている絶対量は違うし、薪や炭にしても同じようなことが言えるかもしれない。これほどエネルギーを使わない大陸は他にないかもしれない。ウガンダの電力供給源はたった一つのダムである。そしてこの国、ケニアに電力を輸出しているのだ、考えられないことである。
人口爆発といっても、アフリカで一番人口が多いナイジェリアのそれは日本の人口とほぼ同じなのである。アフリカ全土でたったの6億人、アジアはいかほどであろうか。中国とインドだけで世界人口の3分の1だ。

環境に対してアフリカにあれこれ言う前に、我々もアフリカに見習うことがあるのではないのだろうか、と痛切に感じたのであった。

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