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1.Good Air : Buenos Aires
2.スノーボード・イン・パタゴニア
3.パタゴニアへの道
4.アルパタトレッキング
5.チリパタトレッキング
6.世界最南端の町とアフリカ病と
7.旅の終着地
8.旅もなかなか忙しい
9.世界で最も乾いた場所




 

 

Argentina>>Chile
2.スノーボード・イン・パタゴニア

 


ブエノスアイレスを後にした僕は、バリロッチェと呼ばれるアンデスの麓の町へと向かった。スノーボードをするためである。ブエノスから1500Kmも離れているので、夜行バスで22時間。
このバス、この旅行で最も豪華な乗り物だった。アフリカでキツキツパンパンのミニバスにばかり乗って、最後の国、南アフリカで立派な2階建てバスに乗ったときはことのほか感動したが、それとはレベルが違かった。そもそも何でもアフリカと比べてしまうのが間違いなのかもしれないけれどね、アフリカ1発展していた南アフリカとこのアルゼンチンを比べると、アフリカナンバーワンなんてお話にならないのである。

さて、この夜行バス、セミカマと呼ばれる準寝台車で、足元の台座が膝裏まで伸びてきて、椅子がぐぎゅーんと後ろに下がり快適この上ない。バスはスカスカでも時間通りに出発し、昼食のお弁当つき。それだけでも感動したのに、レストランでの夕食と朝食までついてきたのだ。これで、1500km走って3200円とは、何てことだ!

バスはパンパの大平原を走った。アフリカとは違う種類の地平線が広がり、違う夕日が沈んでいった。翌朝、雪を抱いたアンデスの山並みが見えた。レイク地方と呼ばれるこの一帯は、なるほど美しい湖がいくつもある。
そして、この湖の色が太陽光線によって青にも緑にも変化した。湖の向こうにはアンデスの山々がババーン!「ここなら住んでもいいなあ」と思った(むしろ住ませてください)。アフリカのどこでも、そんなこと思わなかったのに、気が早い。
ため息が出るほど美しかった。人間、どんなすばらしい景色をいくら見ても、何度でも感動できるものだなあ。すばらしい。

バリロッチェという町は美しい湖の麓にあり、背後には雪を抱いた山々が聳えているという絶妙なロケーションの中にあった。観光客が多く観光客向けの店も多く、雰囲気はどこまでも軽井沢。
街を歩くと、いたるところに、「Patagonia」という文字を目にする。「Patagonia shopping center」「 Patagonia hotel」「 Patagonia outdoor」「 Banco Patagonia」などなど。そう、ここに来るまではちっとも知らなかったけど、実はもうここはあのパタゴニアなのであった。
パタゴニアとは、アルゼンチンとチリの南緯40度以南の広大な地域を指すらしかった。ちなみに、パタゴニアという名前は、マゼランの探検隊がこの地方の人をパタゴン、足の大きい人と名付けたことに由来する。
とにかくあの夢のパタゴニアに来てしまったのだ。こんなにも早く。ていうことは、パタゴニアでスノーボードじゃんか!わお!

翌日、アルゼンチンで一番大きいという、「Cerro Cathedral スキー場」へと向かう。生憎の雨と呟いてみたが、生憎の雪、の間違いだった。日本で言う上越系スキー場の3月下旬のコンディション。南半球の8月は日本の3月で、9月から春が始まるのだと思う。
まあ、したがって、スキー場の下部は雪がかなり解けてしまって土がおもむろに露出している。でも1000mもリフトで上がれば、雪質は悪くはなかった。そして吹雪いていた。
もちろん、日本からスキーウェアを持参しているわけではない。スノーボード用品は借りたが、ウェアまで借りるのは予算上厳しかったので、持っている服を最大限着込んだ。こんな貧弱な装備でボードをしたのは始めてである。
吹雪いているのにゴーグルは無し、サングラスで代用。ズボンはカッパで上のジャケットは防水ですらない。そして手袋はただのフリースなので濡れまくり。おまけに猛吹雪。
久しぶりにちょっと山をなめてました、って思った。

スキー場そのものは、特別なものではなかった。カナダみたいな大斜面を期待していたのだが、日本のスキー場に作りが非常に似ている。リフトやゴンドラ、入場ゲートも自動で設備も立派だ。しいて日本のスキー場との違いを挙げれば、山自体に木が少ないので横の斜面が広いのと、規制が圧倒的に少ないということだ。「ここは危険なので入ってはいけません」的標識やロープがない(もしかしてスペイン語読めてないだけだったり?)。これって、スノーボーダー的には最高なことなのだ。コンディションさえよければ、さぞかし楽しいゲレンデだろうなあと思った。ちなみに、僕は一度道を間違えて谷に落ちてしまった・・・

久しぶりの運動で疲れたに拘らず、次の日、僕らはLago Nahuel Huapiの湖岸を走っていた、MTBに乗って。こりゃまた久しぶりなので、展望台まで往復50kmほど軽く走っただけだが、湖の対岸の雪を抱いた山々の眺めがすんばらしい。途中ダートロードから出てきた泥だらけのワイルドなバイカーと何度かすれ違う。しかし僕が走っていた舗装路は高級なレストランやロッジが軒を並べ、こりゃまた軽井沢風でワイルドとは程遠い。
それでも久しぶりの風がさいこーに気持ちよい。

このエリアでは、MTB、ハイキング、クライミング、カヌー、スキーと無限のアウトドア的可能性が広がる。ああ、南米、やばいところですね。くー・・・夏に来たかったあ。

 

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