モプティ。
「糞みたい町だな」
常々僕ら旅人は吐き捨てるように口にした。
モプティはマリのツーリストインダストリーの中心地だった。マリの中心地だけではない。これといって観光的見所の少ない西アフリカで唯一見所にあふれているのがこのマリなのだ。つまりは西アフリカ全体の観光産業の中心地がモプティといっても過言ではない。
この町はドゴン、ジェンネ、トゥンブクトゥ、すべてのビッグサイトの基点となっていた。こんな町に滞在もしたくなかったのに、4泊もしなければならなかったのはそんな理由からだった。
すべてが悪人に見えた。町を10歩あるくごとに声がかかった。ガイドの客引きだったり、ただの若者だったり、ジジイだったり、子供だったり。ホテルも監視され、門から一歩外に出れば知った顔が話しかけてくるのだった。人が腐っていた。
でもその彼らをクリエイトしたのは、我々ツーリスト。
もともと何もなかったこの村に、突如あふれんばかりの金を抱えた観光客がとめどなくやってきだした。そりゃあ、みんな変わってしまうさ。
ただ悪いことばかりではない。ここは美しい町でもあった。西アフリカは人々の衣装が華やかで、まさしく僕の想像の中のアフリカだった。大げさだがアフリカのベニスといわれたここモプティ、世界遺産のモスクのあるジェンネ、そしてカラフルなマーケットたち。
美しい西アフリカの美しい写真たちをどうぞごらんあれ。
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