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Pamir Range |
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翌日、この湖で出会ったロバートというイギリス人と乗馬を楽しんだ。天上の湖、カラクリ湖で僕らはモンゴル人にでもなった気がした。馬はキルギス遊牧民に借りた「咳き込む老馬」。ちょっと走るとぜーぜーと息を切らし、ゴホゴホっと咽せてしまう。しかし、無情にも僕は「ハイ!ハーイ!」と叫びながら、馬の脇腹を蹴り草原を駆け抜けた。ヤクがうっとおしいようなボケた顔を僕らに向けた。 カラクリ湖を出発する日、空は晴れ渡り、湖の向こうには初めて顔を見せた、りりしいムスダーグアタ、そのすぐ隣にはのっぺりとしたコングール峰が微笑んだ。 カシュガルまではロバートと行動を共にすることにする。今回彼は中国国境の町、タシュクルガンまで中国側からバスで行き、そこを自転車で出発し、僕と同じルートをたどり最後はホータンという町まで、800kmをこぐ予定だという。 僕らは、ただただ絶景の中、ペダルもこがずにポカ〜ンと口を開け、キョロキョロしながら谷の合間を下っていった。 道では駱駝や羊、山羊によるうんこまみれの大渋滞が起こっていた。あまりにも景色が良くて、僕らは全く前に進めなかった。
しかしその絶景も楽しめたのはたったの1日。翌日、山は消え、遙か彼方まで見渡せるタクラマカン砂漠の端にのびる平坦な道となった。人生とは儚いものである。しかし、その一瞬の輝きのためにぼくらは生きているのだ。
緑で潤うオアシスの村をいくつか通り過ると、その中で西南部最大のオアシス都市に到着。カシュガル、ここは中国西の果て、古えからのシルクロードの中継点、そしてウイグル民族の街。 しかし、ここには新たな旅の始まりがあった。 ロバートは言った。 |
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