トップページ

 

 
 

1.水下痢のハンガーノック
2.風の谷・フンザ
3.氷河の音と、星降る夜と
4.パスー氷河へ
5.4730m、クンジュラーブ峠

 
 

1.中国政府につかまる
2.パミール高原を駆ける
3.天上の世界から下界へ
4.ロバートからの手紙

 
 

1.カラコラムのサイクリストたち
2.旅行データ
3.海外サイクリングマニュアル

 

 

Others
1. 海外サイクリング・マニュアル

 

合計2万キロ走行した経験からの、海外を自転車で走る際のユースフルデータをまとめました。なおデータは2001年のものです。

プランニング

1. 行きたい国を選ぶ

2.その国の気候を調べる
雨期や真冬など、気候が悪い時期に行ってもつまらないだけ。ベストシーズンに行くのが一番。

3. その国の危険状況を調べる
注意喚起ならまだ大丈夫。
観光旅行自粛勧告が出ていたら渡航をやめた方がいい。
情報は外務省で得よう

4. では自転車ツーリングに適している国なのか?
国には自転車に向き不向きの国がある。ロング・ツーリングならどちらのタイプの国も走ることになるが、ショート・ツーリングなら走っていて楽しい国を選ぼう。
情報はロンリー・プラネット、JACC等で得ることができる。

5.道路状況を調べる
新宿の紀伊国屋か、お茶の水の三省堂、神保町のマップランドには世界各地の地図がそろっているので、そこで行き先別の「道路地図」を買ってしまおう。時間があるなら、インターネット書店で買うのも一つの手だ。
スタート地点と、ゴール地点が決まったら、実際の距離を計算しよう。経験がある人なら一日100キロ、初心者は一日80キロ。標高差や路面状況も重要な要素だが、一週間のショート・ツーリングなら500キロ、一ヶ月以上のロング・ツーリングなら、ひと月2000キロが目安だ。

6. 入国地点を確認する
自分の足で国境を越える、これは日本では絶対に味わえない楽しみである。しかし一概に国境越えと言っても、どの地点から国境を越えるのかが問題となってくる。バスやタクシーで入国できるポイントは、自転車でも入国可能と思ってよい。

  • その国の大使館に電話して、今開いている国境を聞く。
  • ロンリー・プラネットや旅行人のウェブサイトの掲示板に質問して答えを待つ。
  • 情報ソースを調べる
  • JACC−Japan Adventure cycling Club
    国内最強のサイクリングクラブ。自転車で海外を一周した猛者が多数所属する(僕は入っていませんが)。月に一度開催される定例会があるのと、ホームページの掲示板もかなり有効活用できる。
  • 旅行人
    オタクからメジャーになりつつある、旅行専門誌。ホームページの掲示板では、たまに嫌な旅行マニアに捕まるが、なかなか有効な情報を得ることができる。ガイドブックの出来もよく、英語が得意でない人は「ロンリー・プラネット」や「地球の歩き方」よりもこちらをお勧めする。
  • Lonely Planet
    オーストラリアに本拠地を置く、貧乏旅行者向けのガイドブック。マイナーな都市の安宿情報や、国境情報、通貨事情、自転車旅行情報など、ありとあらゆる情報が載っているのでかなり活用できる。紀伊国屋等の大型書店でも買うことができるが、インターネットで直接買った方が千円くらい安くすむ。
    ホームページの掲示板も活用度大。各国別に分かれていて、世界中の旅行者の声がオンタイムで聞ける。

準備

1.Visaを取得する
visa(旅券)が必要か不必要かはその国次第なので、行く国が決まったら大使館に電話してみよう。
ロングツーリングの場合は、現地で取得した方が安い場合が多いので、現地(一つ、二つ前の国)で取得した方がいい。
例として、僕の場合、イランのヴィザは日本で取得不能と言われたが、トルコのイラン大使館で10日間待った後取得することが出来た。旅をする内に、旅行者から様々な情報が手に入るので、日本にいる時からあまり心配する事はない。

2. 航空券を手に入れる
格安航空券は、HIS等の旅行代理点で簡単に買うことが出来る。ロングツーリングの場合は、片道切符を買い、帰りの分は現地で買うことになる。ただ、片道切符だからといって、半額ということではなく、往復運賃とあまり変わらないことが多いので、Visaの関係上面倒くさかったら往復チケットを買い、帰りの分は捨ててしまおう。
ショートツーリングで国境越えの醍醐味を味わいたい場合は、ゴール地点がある国の航空会社の経由便でスタート地点の国に行けば安く済む。
例えば、マレーシア航空を使って、マレーシア経由でタイのバンコクに行き、バンコクをスタート地点としゴールをクアラルンプール。クアラルンプールからマレーシア航空で帰ってくれば、航空券代は通常価格の5、6万円で済む。

3. メンテナンスを覚えよう
最低でもパンク修理とタイヤ交換、オイルを注す場所は覚えておこう。旅が長期にわたる場合はワイヤーの交換やスポークの替え方、振れのとり方も覚えておけば心強い。

4. 装備
MTB関連

  • MTB−よほどの悪路でないかぎり、サスペンションがないMTBの方がツーリングには適している。ロングツーリングの場合は10万円くらいの自転車、ショートツーリングなら5万円くらいの自転車でもよい。クロモリ製がベスト。
  • キャリア−キャリアは壊れやすいので、鉄製のキャリアがよい。アルミは不可。なぜならアルミは溶接に特殊技術がいるので、途上国だと修理する場所が限られてしまうからだ。
  • 工具−パンク修理キット、ニップル回し、アーレンキー、モンキーレンチ、チェーンカッター、ドライバーは最低限必要だろう
  • 予備−換えチューブ2本、タイヤやスポークも替えがあると心強い。たいていの部品は現地調達できる
  • ライト−トンネルなどの危険個所を通ることになるためバックライトは必ず持っていった方がよい
  • サイクル・コンピューター−自分のペースと距離を測りたいなら不可欠である。

ウェア

  • 雨具−ゴアテックスの上下の物
  • 下着−化繊の下着がベスト。上も下も3枚あれば十分である。余談ではあるが、自分はパタゴニア社の製品を愛用している。耐久性が他社と全く違う。94年に購入し、ユーラシア大陸横断時も酷使したウェアもまだ現役選手である。
  • 靴下−化学繊維、もしくはウールの物がよい
  • ウインドブレーカー−雨具のジャケットで兼ねてもいいが、長旅になる場合「エピック」を使った透湿性のよい物を一つ持っていると大変重宝する。
  • バイクショーツ−厚いパッドが入った物が初心者には良い。慣れてくれば尻の皮が固くなり普通のショーツで大丈夫になる。
  • 靴−ゴアテックスのロウカットのシューズが便利である。サンダルも不可欠。
    上記以外にも、寒いところに行く場合は厚手の手袋、フリース、帽子、ナイロンのパンツ、タイツなどが必要となってくる。
  • 帽子−キャップタイプの物。ちなみに乾燥した土地に行く場合は速乾性に優れたナイロン製品より、乾きにくいコットンの方が極度の頭の乾燥を防いでくれて良い。

キャンプ用品

  • 居住性のいいテント、寝袋、マット、ヘッドランプ、アーミーナイフ、大きめの鍋、ガソリンコンロなど。

クスリ

  • 現地の病気には現地のクスリが一番効く。抗生物質や使い慣れたクスリなどは持っていくと心強い。

地図

  • 先進国以外の国に行くなら、地図は必ず日本で調達した方がいい。現地ではなかなか手に入らない、入っても粗悪品が多い。地図だけはケチってはいけない。

保険

  • どんな病気にかかるかわからないので、保険には必ず入ること。短期ならクレジットカードの保険で十分だが、長期ならば直接保険会社に出向いて、自分でセットできるタイプの物を選ぼう。

外貨

  • あまり経験がない人はトラベラーチェックが一番。アメリカ以外の国を旅するなら、アメリカンエクスプレスのチェックを選ぼう(なぜかアメリカではあまり使えないのに、途上国ではVisaよりも条件がよい場合が多い)。500ドルくらい現金のドルを持っているといざというとき心強い。必ず腹巻きなどの貴重品入れを持っていくこと。

その他

  • 大体の物は現地で手にはいるので、足りないものがあったら現地で買えばよい。

装備例

Karakoram Expedition の時の装備例
《上》全ての装備
左上から1−服 2−自転車ポンプ 3−工具(6角レンチ、オイル、パンクキット、ニップル回し、スポーク、モンキーレンチ) 4−鍵、チューブ 5−シェラフ 6−テント(シエラデザインズ−ハーフムーンU) 7−マット(サーマレストウルトラライト) 8−フロトバッグ、リアバック 9−火器(MSRウィスパーライトインターナショナル) 10−メディカルキット 11−調味料 12−ハンドルバック(中に貴重品、カメラ、地図、フィルム、ヘッドランプ、ナイフ等) 13−サングラス 14−シェラカップ 15−ガイドブック 16−洗面用具 17−トイレットペーパー 18−雨具 19−鍋 20−サブザック(街を徘徊するときに使う) 21−大型パック(60リットル) 22−三脚 23-マネーベルト

《上》ウェア 
左上から1−化繊の綿を使ったジャケット 2−ウインドブレーカー 3−ナイロンパンツ×2 4−ショーツ 5−帽子 6−靴下×3(アクリル、ウール混と乾き重視のポリエステル物) 4−フリース(pt100) 5−Gore-Texの雨具 6−グローブ 7−タイツ(ライトウェイト) 8−パンツ(ポリエステル)×3 9−Tシャツ(半袖×3、長袖×1)

《上》絞り込んだ救急セット
爪切り、バンドエード、軟膏(虫さされやオデキ用)、日焼け止め、テープ、包帯、ガーゼ(汚れないようにジプロックに入れる)、マキロン、錠剤(抗生物質、バファリン、下痢止め、など)

準備万端・さあ海外へ!

1. 自転車はどうやって運ぶの?
自転車屋さんから段ボールをもらってきて、それに梱包しよう。その中に荷物を入れてもいいが、総重量が20キロ以下になるようにしなければいけない。アメリカ直行便以外は20キロを超えると法外な超過料金を要求される。他の荷物はがんばって機内に持ち込んでしまおう。なお、成田空港まで自分で自転車を持っていこうとすると悲惨な事になるので、郵送してしまおう。
現地に着いてから、もし飛行機を利用しなくてはいけない事態が起きたら、自転車は梱包する必要はない。直接空港に乗り入れて、ごく自然にカウンターに預けてしまう。たいていの場合何も言われることはないだろう。もしどうしても無理なら、その場で段ボールとガムテープをもらって包めばよい。
大抵の場合、自転車には超過料金はかからない。

2. 安全走行
一番死亡率が多いのは交通事故である。日本では一応歩行者優先の交通ルールだが、海外には車優先という国がざらにある。人の命が動物よりも安い国もあり、自転車なんて見向きもされないときもある。常に注意深く、しっかりと前を向いてペダルを踏み、危険と思ったら素直に路肩に寄る心がけが必要だ。

3. 宿泊場所
どこに泊まるのか?
橋の下、つくりかけの家の中、野原、畑、砂漠に森の中、と僕は様々な場所でテントを張った。なんと言っても一番危険なのは「人間」なので、人から見えないところにテントを立てたほうがよい。またはガソリンスタンドや、広い農家の空き地などむしろ人が常にいる場所に泊まるのもよい。
テントを張るのが危険と判断した場合は素直に宿に泊まるべきだ。命はお金に換えられない。途上国なら宿代はたったの300円ほどである。それで安全が買えるならば安いものだ。

4. 食料
自転車をこぐという行為はかなりのエネルギーを必要とするので、時折体中全てのエネルギーがなくなって動けなくなる、ハンガーノックという状態になることがある。常に食料と水は持ち歩くこと。 
途上国では、商店が見つからなくても、食堂で野菜やパンなどを売ってくれる。

5. 言語
英語が話せない?
そんなの心配することではない。英語を話せる人は英語圏外には意外に少ない。その国の言葉を知らなくても身振り手振りで何とかなるものである。仲良くなった現地人に数字や単語を教えてもらえばよい。

6. 郵便物の受け取り
日本からの郵便物は在外大使館宛に送ってもらうといい。郵便局止めもできるが、途上国の場合大使館の方が確実である。逆に先進国で大使館宛にすると、職員にネチネチ怒られることがある。

お勧め書籍
『自転車地球放浪塾』 のぐち やすお 山海堂
『人力地球移動術』 九里 徳泰 地球丸

心構え

日本であまり事細かに準備をしていっても、海外では予想できない事態に巻き込まれることがある。常にどっしりと身構えて、落ち着いて行動する心構えこそが最も「必要」な装備品かもしれない。

それでは、気負わずお気楽に

よい旅を

 

▲top


All text and images © 2007 tabibum . All rights reserved