モロッコの最高峰トゥブカル峰に登ることにした。
マラケシュから登山のベースとなる街、Imlilへと向かう。ここにもボリ男たちがいて現地人の1.5倍くらいのお金を請求された。モロッコはどこへ行ってもそうだ。5円10円でもボッテくる。毎日ダンコとしてボリ男と戦っているが、それでも毎日ぼられている。
今回は地図もなし、ガイドもなし。日本の常識ではそんな状態で4000M峰に登るなんて無謀だが、まあ簡単だってガイドブックに書いてあったし大丈夫だろう。
イムリルからは道標なんてものは無く、ひたすら分岐に来ては現地人に道を尋ねながら上を目指した。川沿いに道は続き、ゆっくりとゆっくりと高度を上げていく。アトラス山脈というとなんか響きがいいが、ここはモロッコ、山も砂漠の山だった。花は見当たらず、緑といったら砂漠に生えるあの刺々しい植物。しかしさすがに高度が高い為か暑さは気にならなかった。
5時間ほどでフランスのアルパインクラブが経営する山小屋に着く。標高3702m。軽い高山病のため、屁がとまらない。
ここで日本からこの山を登るためにやってきた老夫婦に出会った。なんとこの山で3日過ごし、すぐに日本に帰るという。しかもツアー代金は40万円。旅のついでで、マラケシュからだと山小屋も食料も交通費も全て含んで2千円以下で登れてしまうこの山は、実は40万円の価値があったのかぁと関心・・・
翌朝頂上を目指す。朝はさすがに冷え込み、途中氷も見かけたが、はやりの「Light and fast」スタイルで長袖アンダーとカッパしかもってきていないのだ。でも激しく動けば体は暖かかった。トクントクンと心臓の音だけが聞こえた。風の音以外は何も聞こえない。有機物はもう何も見かけられなかった。まるで富士山のように、ガレ場が永遠と続いた。
4000mを超えるとやっと体が高度になれたのか、急に調子が出てきた。
9:00、標高4167MのJbel Toubkalに立つ。4時間のコースタイムを2時間20分に縮めた。まずまずかな。
頂上からは遥か彼方の山まで見渡せる。しかし遥か彼方も赤茶けた砂漠の山だった。日本の緑が恋しい。
空がどこまでも青かった。
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