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01.賄賂地獄、チャド
02.西アフリカ最高峰
03.大移動
04.アフリカで年越し

 
 
 
 

3. Central Africa
mail_03 / 29th,DEC,2002 @ Khartoum : SUDAN
大移動

 

カメルーンの首都ヤウンデより、このハルツームまで大移動。
この旅でおそらく、もっとも「面倒くさい」行程の一つが終わったという感じだった。
自転車で移動しているとき、「ヘン!バスでの移動なんて楽勝だよ」って思っていたけど、これがナカナカ大変だった・・・
早くしないと、大使館がこぞって年末年始の休みに突入してしまう、スーダンにスタックしてしまう!そう思い、急ぎ急いで、結果11日間ノンストップの行程となったのであった。しかも間に合わなかった・・・

でも実は閉まったのは日本大使館だけで(9日間!)、ほかは元日以外は営業していたので無事スタックせずに済んだのだけど。移動しすぎの後遺症で、ここについたら何にもできんかった・・・

Day1
ヤウンデより、夜行列車で北の町「ンガウンデレ」へと向かう。
カメルーンは西アフリカで、おそらく1、2を競う交通の便のよい国だが、列車はのっけから脱線事故が原因で3時間の遅れ。
「列車の中は強盗がいて危険」とガイドブックにあったが、電車駅で、この旅で初めての盗難に合い、キャンプのマットを盗まれる。しかし、それを見たという青年と警官のおかげで奇跡的に手元に帰ってきた。
車中泊

Day2
熱帯雨林の中をひた走り、到着は6時間遅れ。
ここからさらにバスに乗り換えて500キロ北のマロワへと駒を進める。
スーダンもチャドもイスラム色が強いので、この町でビールとお別れ。
ホテル泊

Day3
朝一でバス停へと行くが、僕が2番目のお客さん。
7時にバス停についたのに、車が出たのは12時過ぎだった。躓き始めたぞー・・・

このバス(ハイエース)、乗客一人一人に兵隊のエスコート代金というのが別途支払わされる(100円)。実際、銃を手にした兵隊3人が同乗しての出発となったが、逆ルートを通ったときはそんなことなかったので、もうこのルートはそんなに危険じゃなく、昔からの習わしというか、単に兵隊の小遣い稼ぎか、もしくはほかの警察からの賄賂逃れが目的だろうね。
カメルーン最北の町コウセリに着き、チャーリー川を渡って再びチャドに入国する。もう夜だったが、一応バス停に行ってみた、するとバスは明日の朝8時に出るといわれた。
チャドの首都ンジャメナは安宿が皆無なので、キャンプ。
そしてここでこの行程、最初にして、残念ながら最後となるシャワーを浴びた。

Day4
一応誕生日 、12時をテントの中で迎えたのはなんとも自分らしかった。

朝7時バス停へと向かう。
8時のバスはまだまだ出そうになかった。ここから目指すは東に750km離れたdesert locked city アベチェ。トラックタイプのオンボロバスは3000円、ランドクルーザーは4000円。もちろんランクル選択したいとこだったが、その車が今日はないという。
バスは12時出発と、時間を大幅に変えた。
ここでカメルーン人2人の仲良くなった。彼らはチャドという国に、いささか参っていた。すでに国境で賄賂を取られ、このバス停のチェックポストでも丸裸にされ4000円もの大金を取られたという。
「ノーって言わなきゃだめだよ」と言ったものの、アフリカの近代史はクーデターにつぐクーデターの軍事政権で、だれもが警官や兵隊を異様に恐れている。それらは絶対権力でありノーとは言えないのだ。
ちなみに僕も朝一番で、ここの警察と兵隊にそれぞれ呼ばれ、金品を要求されたが、なんとか切り抜けた。

12時になると、バスは14時に出発すると言った。
14時になると、バスは16時に出発すると言った。
カメルーン人は昨日からバスを待っているという、同じくバスを待っていたチャド人は、昨日の3時に来いと言われて来たのに、また明日来いと言われた、と怒っていた。
いやな予感がした。
例のチャド人が「また今日も明日来いって言われたぜ」と怒って帰っていったのだ。

事実、16時になると、バスは明日の出発だと言った。
これにはさすがにぶちきれて、荷物の紐をすべてとかせて、17時に出るというほかのバスにぎりぎり滑り込む。
怒ったのか、もういやけがさしたのか、カメルーン人の片割れは「帰る!」といって国に帰ってしまった。(ここからカメルーン国境まではたったの7km)
えー!

18時バスは出発。25時間で現地に着くというが怪しいもんだ。
お祈りタイム、お茶タイム、エンジントラブルタイム、バスは各駅停車。
しかも止まって外に出るたびに、警察に見つかり、暗い詰め所で取り調べ、そして賄賂賄賂賄賂! この賄賂攻撃は「フレンド作戦」で逃れることにしていたが、さすがに回数が多すぎてうんざり・・・
もう外に出るのもいやになってバスの中に隠れることにしたが、誰かしらが警察をわざわざ呼んでくるのであった。
この密告者がチャドの一番がっかりさせられたことだった。

《フレンド作戦》
金をよこせ、と言われたら、「おー、マイフレンド、そんなこと言うなよ。僕なんてこんなズボンもちぎれて汚くて、かねなんかないない。」握手握手「サンキュー、シュクラーン!」でさようなら。

砂漠の中の満月は非常に美しかった
車中泊

Day5
文字盤を30分おきに擦らないと時計が見えなくなってしまうほど、バスの中は砂のシャワー。眠ると窓にガンガンと頭をぶつける、縦揺れで舌をかんで血を出す(どんな寝かたをしてるんだ?)コメディーのようにジャンプして20センチ離れた天井に頭を強打。
10時、およそ中間の町、ATIに到着。ここでももちろん賄賂賄賂。強情に払わないでいると、偉い人が来るので待て、と言われ待機。
するとしびれを切らしたバスのドライバーが来て、代わりに賄賂を払うではないか。これにはさすがに情けなくなった。
腐敗したアフリカの腐った一面、それに参加したくはない。でもこれは払うべきなのか・・・?

砂漠というよりは、刻々と砂漠化する大地、という表現がふさわしい景色の中を進んだ。夜が来ても当然のごとく、目的の町には着かない。
22時、乗客が「アベチェだ」と叫んで、みんな外に出だした。
おっ着いたかーと思いきや、なぜかみんなその場に一斉に寝はじめる。
町に着いたことは着いた。しかし、道は夜なのでブロックされていて、町に入ることは不可。
おいおい、戦国時代の城下町とかじゃないんだから、そんな馬鹿な・・
野宿

Day6
早朝、警察が来てパスポート没収。町の中で返すと言う名目。
変装して現地化していたカメルーン人の友人も誰かに密告され、パスポート没収、さらには、多額の賄賂を払っていた。かわいそうに。
7時、ようやく町に着くが、10時までパスポートを返してもらえなかった。
もうほんと大嫌いチャド。

ここからは200キロ離れた、スーダンの国境の町を目指す。悪路なのでバスはない。4WDのピックアップの荷台に乗っての旅である。
これがまた、10時に出るといいつつ、出たのは14時。
道の脇には巨岩が並び、その脇をロバに乗って進む現地の女性がかわいらしかった。
夜7時、車は突然停まって、みんなまたごろ寝。おいおい、こんなに早く眠れねーよ。
しかも5時間で120kmしか進んでいなかった。予想以上の悪路だなあ。
野宿

Day7
朝4時半に出発。8時に国境の町アドレに着き、恒例の賄賂請求。却下!
このピックアップトラック、これを同じ目的地に向かう一つのチームと考えるなら、ものすごーくチームワークが悪い。
イミグレでボスが来ないとスタンプ押さないというので、僕達数人のために他の乗客が待つ。
その間、おいらは木陰でのんきにお茶。1時間位するとドライバーがやってきて「おいおい。もうスタンプ押す奴来たから来たからスタンプ押してこい。」と急かす。スタンプもらってくると、今度はドライバーが木の下で寝ている。(??)ドライバーに早く行こうよと言うと、町に飯食いに行っちゃった奴等がいるんだ、と言う。
こうして、いつまでたっても進まないのだ。

11時やっとスーダンに入国。
ここから400Km離れたニャラを目指すことになるが、さすがに疲れたので、この町で泊まってシャワーを浴びることにした。
と思いきや、この町には一つも宿はない、という。仕方なく夕方のバスに乗ることにしたが、このスーダン西部の道は、噂どおり武装強盗が出て危ないと警察は言う。
 「銃で撃たれるんだよ、たまに誘拐もされるんだ、がっははは」
って笑い事じゃないだろ!
危ないから夜にバスはない、って彼は言ってたけれど、需要があれば危険だろうがお構いなし、それもアフリカ。
夕方出発したバスは、もちろん、恒例の仮眠タイムあり。何もないとこで急に止まるとみんな外に出て眠り始める。
野宿

Day8
10時、まあまあ順調にニャラに着いた。ここからはスーダン第三の都市、エルジェネイダへと、週に2日電車が出ているが、もう今朝出発してしまったとのこと。
ピックアップトラックがあるというので、スーダン人とモーターパークに向かい、待つ。
待つ。
待つ。

17時に出発した。しかし、15分後に止まり、これから準備するから待てと言われまた2時間。
走り出したと思ったら車はすぐにパンクして、また町まで戻っていつまでたっても進まない。その後も2回パンクするし、エンジンの調子も悪かった。おまけに道は砂漠の中を進む悪路。
そして・・・荷台には何と23人も乗っているのであった。どうやったらそんなに乗れるのだろう?状態である。
座るとひざが胸について、誰かに足を踏まれ、10分で足がしびれた。仕方ないから、その後4時間も立っていた、砂漠の夜風が寒い寒い。午前2時になり、さすがに眠くなり、立っては座るの繰り返し。エッデンという町に4時に着き恒例の仮眠。
野宿。

Day9
朝、出発かと思いきや、村のモーターパークに連れて行かれみんな降ろされる。どうやら、車の調子が悪いからもう帰るとドライバーがごねだして、お金も一部返金。
ハア〜
頼むよもう。
エルオベイドまで、まだ550kmもある。
来ない車を待つ、また待つ・・・

ここからは車の選択肢が3つあった。
大型トラックの荷台;750円
ピックアップ;2500円
ランドクルーザー;3500円
一応ピックアップの親父に金を払い待った。すぐ来るという。
そして余裕で4時間が過ぎ12時になった。親父は相変わらず繰り返す「あと15分で来るから、あと20分で来るから」
こりゃーまたやられるな、と思い、たまたま空きがあるというランクルへと乗り換え。このランクル、最高級の最上級の乗り物である。エルオベイドまでは12時間から16時間で着くということであった。一番安いトラックの荷台は3日間かかるという。

14時、ようやく出発。
しかし、出発早々、乗客とドライバーのけんかが始まり、15分後に町まで戻ってしまう。
10人いた乗客の内、5人は怒って車を降りてしまった。どうやら、ドライバーが新人で町を出る道さえも知らなかったらしく「そんな奴と行けるか!」とみんな怒ったのであった。
確かに、砂漠の道なき道で、その道さえ知らないドライバー。うーん危険・・・
でもいつ来るかも知れない次の車を待つのも、もういやなので、彼と一緒に行くことにし、それでも不安で水を補充。(ここで降りた者の選択がいかに正しかったか後で痛感することになる)

町の出口までは屋根に人が乗っていて「そこ右!ひだりー、まっすーぐ」と叫んでいた。町を出てからもロバに乗った現地人に道を聞く始末・・頼むよ、おい・・・
まあ、それでもさすがにお金を払っただけあって、車は快調に飛ばした。びゅいーんびゅいーん。

20時、「ガコン」という音とともにマフラーが車から外れ落ちる。修理のため近くの村にUターン。ついにアフリカンタイムがきてしまった。
 「15分で治るよ!」という気楽なスーダン人の予想とは裏腹に、この村に5時間スタック・ ・
一番高い車に乗ってもこれかあ、ガックシ・・・・

午前2時。車は出発し、30分で州都の町(村)、Gubeishを通り過ぎ、夜通し快調そうに進んでいた。6時半、まあまあ大きな村で仮眠タイム。
野宿

Day10
朝、村を出る際にほかの車から、オベイドはあっちだよーと言われUターン。
おいおい。
ところでここはどこだろう、昨晩4時間以上走ってたし、多分オベイドの200kmくらい手前のこの村だろう、と地図を見て検討をつける。そこで乗客に聞いた。
「Gubeishだよ」と彼は言った。
「えっ、その村は2時にとっくに通り過ぎたじゃん」
「実はな・・・
昨日あのあと4時間迷っていて、戻ってきちゃったんだ、その村に」
なんか言わんとする意味が理解できなかったが、頭の中がクリアになり事実が分かると愕然としたのであった。どうやったら砂漠の中を4時間も迷って同じ場所に戻ってこれるというのだろう。(ある意味すごい)
ガハハと乗客の半分は笑い、後の半分はさすがにがっくりしていた。
ハア〜

今日は一層、車の調子が悪い。
エンジンは止まっては長時間動かなくなり、昨日溶接したマフラーの一部が再び外れ、キャリブレーターがいかれ、さらにはスターターも壊れて、みんなで押さなければエンジンがかからなくなった。(これは砂の上だから押すのが大変)
「今夜には絶対オベイドに着くから」
というドライバーの言葉むなしく、20時、着いたのは目的地から200km離れた街、エンヌフッド。ここで修理のため、車をピットイン。

夜中の1時、砂に埋もれた車をみんなで押していた。
2時、エンジンがかからなくなりみんなで押していた。
3時、タイヤがスタックし、みんなで砂を掘っていた。
4時半、小さな村で仮眠タイム。
今日も着かなかった。そしてイブもクリスマスも終わった

Day11
今日でシャワーを浴びなくて8日目。それは始めてではないけど、さすがに下着すらも変えてないのは初めてだなあ。乾燥した土地にハエは多いけど、最近やたら自分の体にたかってくるようになった。
うーん・・・

朝、ドライバーは村の出口がわからなくて迷っていた。
2時間走り舗装路に到達、12時、ついにエルオベイドに到着。
列車なら21時間なのに車で4日。
どういうこと、ありえねえ・・・しかもあの格安のトラックの荷台と同じじゃん。
ここからは正規のバスがバンバン出ている。

車は白ナイルにかかる橋を渡り、青ナイルと合流すべく北へ、ハルツームへと向かった。
風景はいまだ砂漠の中だった。
サハラの懐に抱かれた日々だった。
さらば偉大なるグレートサハラよ。
ハルツームに着いたのは夜の12時。
遠かったあ・・・・

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