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25. 優柔不断のキロク

 

カンクンかベリーズか
カンクンかイスラムへーレスか

最後にカリブでゆっくりしていこう、これが僕らの最近の合言葉だった。
しかし、グアテマラのアンティグアで僕らは大いに迷っていた。さあ、どこのカリブに行こうか、と。ホンジュラスのウティラ島、ベリーズのキーカーカー、メキシコのカンクンが候補に上がった。
真っ先に消えたのは、ホンジュラス。南に2日戻らなければいけなかったからだ。そこでカンクンとベリーズが残った。

カンクンはご存知、今やメキシコで最も有名なビーチリゾート。シェラトン、ヒルトンなどの大型外資系ホテルが軒を並べるスーパーリゾート地。そこへいくとベリーズのキーカーカーという島は、道は全部未舗装で水道からは海水しか出なくて、まだ知る人ぞ知る系のスポット。そして近くには北半球最大のさんご礁がある。なんだかのどかで良よさそうじゃないか。
この2つを比べて、惹かれるといったらやっぱりベリーズだった。しかし、ただ一つのマイナス要素はビザ代の25ドルと、わけのわからない出国税18ドルだった。もし、その島がすばらしいなら43ドル払うことなんてなんでもない。要はこの小さな国に43ドルの値打ちがあるのか、ということだ。
とはいってもカンクンにも惹かれた。なぜなら行った人誰もが絶賛なのだ。とにかく、うじうじと、毎日のように優柔不断に「どっちにする〜?」「どっちにしよ〜?」。今のとこ、カンクン:ベリーズの割合は30:70、ベリーズの優勢。

そこで僕らはアンティグアの宿で徹底的聞き込みを始めることにした。この宿には北から南下してきた人がたくさん泊まっていた。そしてその多くはユカタン半島を経由してきており、カンクンとベリーズの両方行ったという絶好の聞き込み対象の人が多かったのだ。
カンクンだけ行ったという人のカンクンの評判はすこぶるよかった。とにかく誰もがカンクンを好きになっていた。これははっきりいってすごいことだと思う。カンクンはバックパッカーの肩身の狭くなるような、金を持ってないと楽しめないようなスーパーリゾートなのだ、人がうっじゃうっじゃいるのだ。それでも誰もが好きになってしまうというのはすごい。誰もがとにかく海がきれいだと言った。これを聞いてカンクンの株が急上昇してきた。
続いてベリーズ、行った7割の人はいいと言った。3割はとくに褒めてもなかった。ある人は素朴さがいいと言ったし、ある人はダイビングをするならベリーズだとも言った。でもある人は海水シャワーしかないから長期滞在は不可能とも言っていた。うーん。
ちなみにカンクンとベリーズ両方に行った人は、大抵カンクンを勧めた。ダイビングならベリーズかもしれないけど、カンクンのほうが海がきれいだというのだ。「カンクンでいいんじゃないんですか」とみんな言うのだ。ここでベリーズ票がちょっと下落し、カンクン:ベリーズが五分五分になり、僕らはさらに悩んだ。

結局あんまり人がいない素朴なベリーズに行こう、と僕らは決めた。出発の2時間前までは。
出発の直前にカンクンが大逆転したのだ。ベリーズのキーカーカーでダイビングをするためにカンクンで一ヶ月ダイビングをやりながら滞在していた人の話を聞いたからだった。(彼はダイビング初心者でベリーズのブルーホールを潜るには事前に30ダイブの経験が必要と言われ、カンクンで経験を積んでいたらしい。)
彼が言うには
「ダイビングが好きでダイビングが目的ならベリーズのキーカーカーでもいいかもしれない。でもキーカーカーにはビーチがないですよ。ビーチと言われるものは幅10mくらいの砂浜だけ。」
「えっ?島なのにビーチがないの?じゃあみんなどこでのんびりすんの?」
「さあ、自分の部屋とかですかね。あっ、そういえば、島に木の桟橋があるんですけど、白人なんか仕方なくその桟橋でゴロゴロしてる奴が多かったな」
ガックーン。
想像していたのは白い砂浜に椰子の木。そこに寝転がって一週間くらいノンビーリ。しかしその夢は消えた。
「カンクンはすっごくいいですよ。カンクンだけじゃなくって、周辺のビーチや島や、スノーケリングポイントがたくさんあるから、長期でも飽きることなく楽しめるしね。」
と彼は続けて言った。カンクンに1ヶ月滞在し、尚且つベリーズにも行った彼の言葉を信用することにして、僕らはカンクンに行くことにした。誰もが大絶賛する海というものを見たくなったのだ。

ティカル遺跡のあるフローレスで、僕らはまた迷っていた。今度はベリーズを通過するか、超遠回りをしてメキシコのパレンケを経由してカンクンに行くか。ルート的にはベリーズを経由したほうが、ずっとずっと近道で理にもかなってる。しかし、ベリーズは一日のトランジットでも43ドル取られるというので、結局7時間の遠回りを覚悟してパレンケ経由、ベリーズには入国もしないで終わった。中米でたった一つ入国しなかった国となった。

カンクンに着いてからも、僕らが口にするのは「どうしよっかあ〜。」
そんな優柔不断なボク。
今度は冒頭の、カンクンかイスラムへーレスか、ということなのだ。
イスラムへーレスとは、直訳すると女の島。カンクンから船で30分あまり、それはそれは美しい海岸を持つ島だという。
その島でのんびりするか、もしくはカンクンの大リゾート地帯で、旅も最後だし、80ドルくらいの高級ホテルに3泊くらいするか、してしまうか!ってなわけなのだ。
でもカンクンに3泊すると、その後イスラムへーレスに3泊、クリスマスにカンクンに戻り2泊、と結局移動移動でのんびりできないのじゃないか。なにより、正真正銘金がない。
う〜ん。

そして、今、僕らは「女の島」にいる。1泊目と2泊目は高級ホテルの離れみたいのを破格の値段(25ドル)で見つけたが、ここは3泊目からなんと60ドルに値上げするというので(クリスマス前のハイシーズンに突入)、アパートみたいな今の宿に移ってきて、ここでのんびりしている。
まあ、この宿は1泊18ドルとここいらでは格安ながら、新築だし、僕らがいる隠れ家的屋上の部屋からはカリブも見え、波の音も聞こえ、シーブリーズも入ってくるので文句なしのいいところだ。

この島自体もいいところ。ビーチはどこまでも白く、海はどこまでも美しい。島ならではの、のんびりとした空気がここでは流れ、夜になればにぎやかな店が開き、おいしいメキシカンフードを毎日堪能できる。中米では聞こえなくなっていたラテンのリズムがまたここメキシコで感じられるようにもなってきた。誰もが絶賛したカリブは、さ・す・が!なのである。
結果的に、この島でのんびりするのがベストな選択で、良かったと思う。

   

かし、とまた思うこともある。最後くらい、やっぱり高級ホテルに泊まってもよかったかなあ、とも。のんびりしようということでこの島を選んだけど、心の片隅で財布の紐を閉じてしまっていたのかもしれないなあと思うのだ。3泊しても1人100ドルちょっとである。今まで山にそれ以上のお金を払ってきたじゃあないか。1ヶ月の間にボリビアの山に90ドル、200ドル、エクアドルの山に130ドル。ここの高級ホテルの120ドルだって払えるはずだ。
でも、長旅を続けてきて、体に倹約癖がしみこんでしまった様だ。贅沢なことができない自分。ああ、ちっさいちっさい、人間がちっさい。
優柔不断の倹約マン。そんな自分にちょっと自己嫌悪、な、今日この頃なのでした。

 

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