セミくん

毎朝坂道を上がる。自転車でキコキコと。
この時期、至る所に路上にセミが転がっている。
もちろん、地上での短い生涯を全うし、力尽きた彼ら。
コロンと転がっている者もいれば、自動車につぶされてクシャッとしている者もいる。

まるでそんなことは見なかったように、仲間のセミたちは、今日もイチョウの木の上で鳴き続ける。
秋が来て、春が来て、また次の夏が来ても、この光景はきっと同じ。来年も再来年も、10年先も20年先も彼らはきっと今日と同じように鳴き続けているのだろう。

セミくん、君たちはいったいどこへ向かっているのだね。
と心の中で投げかける。
そんなに永遠と同じ事の繰り返しをして、鳴き続けて、いったいどこへ向かっているだろう、と自転車をこぎながら思う。

坂を登り切ると今度は駅まで一直線の下り。
風を切りながら、今度は自分たちの事を思うのだ。それなら我々人間は、人類はいったいどこへ向かっているというのだろうか。
68億の人間たちが、1分で140人増え、115人減る。
永遠と食べる寝るを繰り返し、同じような営みを続け、果たして、いったい我々は、どこへ向かっているというのだろうか。

One Reply to “セミくん”

  1. それを見つけ出すのがこの世での課題なのでしょうねぇ。
    例えその目的地にたどり着かなくても、
    せめてその方向に向けての道が開けてくれば…と願いながら
    日々精進していくのみなんでしょうねぇ。

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