どうやらあれから10年が経ってしまったらしい。
確か雑誌『coyote』の中に小さく載っていたのだと思う。「Creative Writing 講座生募集」というような題名で。
悩みながら応募エッセイを書いて、受け入れてもらって、麻布のSWITCH本社の地下のカフェに通い始めた。
幸運なことにも、人生において師と呼べる方が何人もいる。SWITCHやcoyoteの編集長でもあり創業者でもある新井さんもその一人だ。新井さんが創った『SWITCH1997年1月号』を手にしなければ、98年にアラスカに行くこともなかっただろうし、息子の名前が遥にもならなかっただろうし、アフリカの山に行くこともなかったと思う。
どうやって文章を書くかということ以上の出会いときっかけをもらった。
あれから10年ということで、久しぶりに「Forget me not」の会が開かれた。それぞれが創作してきたものをみんなの前で読み上げる。この光景は10年前から目にしているし、慣れてしまった感はあるけど、よくよく考えると、このメンバー以外の前でやるのは恥ずかしいかもしれない。
みんなの発表とそれぞれの軌跡を聞きながら、自分の10年も振り返る。すると、なかなかいい10年だったような気がしてきた。
と、同時に最近の堕落っぷりを反省したのだった。毎日を大切に、精一杯行きていこうと心に喝を入れた。