Day06
さぁ、移動だ忙しい。
タイのチェンマイからラオスのルアンパバーンへは国際バスが一応ある。一人5,000円もして、22時間もかかる。
「移動日」というと面白くもない不要な時間な感じがするが、移動自体が楽しければ街にいる過ごし方と変わらないんじゃないか?だったらそこを高価でツーリストしかいなくて、安全で予定されたことしか起こらないもので済ませてしまうのはもったいない。先がわからない楽しみがあっていい。序盤だけに時間の余裕もあるし。
ということで5,000円のツーリストバスはやめて、自力でルアンパバーンを目指すことにした。
まずはチェンマイからチェンコーンまで綺麗なローカルバスで5時間半。街と街の間はかなりの山道。川は真っ茶色で時折雨になる。それにしてもよく降るなぁとしみじみと思う。
チェンコーンの街に着く前にここで降りなと急遽降ろされ、そこには国境行きのトゥクトゥクが待っていた。お昼はチェンコンで、ついでに街をうろうろと考えていたのにあれよあれよと国境へと連れて行かれる。国境にはなにもない。せっかく最後のタイ料理を食べようとバーツを残しておいたのに。トゥクトゥクに乗り合わせたお兄ちゃんはマレーシア人で、ここから台湾にコーヒー豆を輸出しているという。ビザがないのでラオスに出てもう一度タイにいらなきゃと言っていた。毎月一回は他国に出る必要があり、前回はビエンチャンにしたと言っていた。そういうモチベーションってどこから来るんだろうな。そんな生き方も面白いよなと思った。
国境には何もなかった。あっさりとタイを出国して20バーツでラオス側へ。メコン川を超えるとそこはもうラオスだった。ハル、ついに国境を超えるぞ、ここが国境だー!と興奮して伝えてみるも、あまり伝わらず・・・笑
国境にはATMが一台ぽつんと置いてあったので、キープを下ろした。600,000キープ(7800円)と、桁が変わりすぎて慣れない。何度か確認してからOKボタンを押した。
国境を超えてものんびりとしたもので、バスターミナル行きの乗合いトゥクトゥクは人がいなくてなかなか出発しなかった。3人の乗客でドライバーが諦めて出発したのは30分経ってから。バス停は閑散としていてルアンパバーン行きのバスが一台止まっているだけだった。18:00に出発で13時間かかるらしい。値段は2人で4000円程だった。子ども料金にしてくれたのもあったけど、ホテルからのトゥクトゥクや国境のバスなど全てを含めても、チェンマイからの国際ツーリストバスの価格の半額だった。その上こっちの方がきっと楽しいのだから、高い手間賃を取りやがるんだな。教訓としては国際ツーリストバスに乗るのは移動を楽しまずに捨て時間と割り切り効率を重視する時のみってことだね。
バス停の横に大きな市場があって、タイからの物資が多いのもあると思うが賑わっていて楽しかった。海がないのでナマズやウナギのような川魚、そして、巨大なカエルが売られていた。カエルの丸焼き130円。食べたくないと言われたから買わなかったけれど、買ってみれば良かったなぁ(全部食べる自信がないけど)。
市場にはカエルの他にもナマズみたいな魚や貝類なども売っていて面白い。
バス停横で辛いラーメン食べてビールを飲んでるとあっという間に乗車時間。
このバスはローカルだったけど、これまで乗ったことのない完全二人寝台仕様。見知らぬ人と隣だったら辛かったけど、チビの息子とで快適極まりなかった。
途中峠を越えレストラン休憩に。エンジンがヒートアップするのか水をかけて冷やしていた。久しぶりに食べたもち米と辛い肉料理がたまらなくうまい。そして、寝るだけのバスへと戻って寝てれば目的地へいざなってくれるという贅沢極まりない移動だった(しかも半額!)
Day07
6:00前に起きると不思議と乗客の三分の一はいなくなっていた。田舎道で、道路は穴が開いてボコボコなのでなかなか進まない。信号は一つもなかった。まだラオスが田舎なことにちょっと安心。ハルに「ラオスはタイよりも発展してない」と、伝えたのもののなかなか難しい。発展てなに?と当然すぎる質問返し。「うーん、進んでないってことかなー。そうでもないか、こっちのほうが幸せの場合もあるんだよね」コンビニがなかったり、道路がボコボコで、いろいろとボロい、あまりお金がないってことかなあ、という伝え方になってしまった。
ルアンパバーンの郊外にバスは着き、トゥクトゥクでややぼられながら移動。昨日バス停でホテルが予約できるのも、部屋に8:00に入れてくれるのも、雨季の閑散期ならではかな。
朝食を食べて街を歩く。バイクがすっかりお気に入りなので、バイクを借りようということになった。何件か回ってバイクの値段を調べる。どこでもいいから借りちゃおうよ、というハルの言葉を聞きながら、値段がいろいろ違うから、安く借りられたらそのお金でコーラとか買えるだろう、というとわかってくれた。どこまでもバックパッカー的旅(を目指す)
ツアー会社の見どころ看板を見て、ビジュアルで行きたいところの名前を知る。googleで調べる。距離となんとなくな印象がわかる。ツアーには参加せずにそこにバイクで向かうことにする。まあ、すごい見どころがあるわけでもないし、そのきっかけを得て、道中を楽しめればそれでいいのだ。まずはクアンシーの滝へと向かう。農村の棚田が美しい。
滝は一大観光地と化していて、よくわからないクマの動物園が付属していた。水量が雨季で多すぎて、道も水浸しでとてもじゃないが泳げたもんじゃない。写真で見る神秘的な連続した水たまりの光景とは違ったけれど、これはこれで面白かった。一番大きな滝の水量もすごかったしね。
帰りはのんびりと寄り道をしながら。メコン川沿いに見つけたレストランでビールとヌードル。川をぼけーっと眺める。ルアンパバーンに着いたらメコン川沿いをバイクでクルーズして、夕焼けどきにメコンの渡し船を見て、ナイトマーケット見物をした。
せっかちな僕としては、ルアンパバーンに求めていたものはなかったような気もしてしまい。明日出ちゃおうかなとふと悩みながら眠りについた。日本では仕事やその他私生活のことで色々悩む、その悩みから開放されているのに日々旅のことで悩むとはなぁ。
Day08
暗い中目を覚ますと激しい雨が降っていた。これは朝の托鉢はなさそうだと行くのはやめて、再び6:00過ぎに目を覚ますと外は小雨に。ダメ元で傘をさして通りに出てみるとお坊さんが傘をさしながら托鉢を行っていた。その周りには一緒に歩く中国人観光客。どこの世界でもこうなのかもしれないが、ああ、ここはきっと変わってしまっている。ここには求めていたものはないのかな、と。
宿に戻ると次の行き先を考えていた。
ビエンチャンまで一日。そこからタイ経由ではアンコールワットまでおそらく1.5日。
じゃあ南はパクセーはというとビエンチャンから16時間くらい。さらに一日でアンコール。
東のベトナムの街までは16時間。
やはりLCCでバンコクに戻った方がいいか。
遥に聞くと飛行機は賛成。でももう少しここルアンパバーンにいたいと言う。それで諦めがついて、今日出発するのはやめた。つい先へ先へと行ってしまいたくなるこの性格。
寺を見たり市場でも行こうと、隣の一番すごい寺へ。ちょうどお昼で建物の中には入れなかったのだけど壮観。通りを市場の方へ、気が向いたら寺に立ち寄る。この、立ち寄る寺というのが世界遺産の一部らしく、ツアー客は去ってほぼ無人なのだが、とてもよかった。Google Mapが間違っていて市場は存在せずただの散歩となったのだが、川を渡ったり、出店を覗いたり、買い物をしたり、人々の暮らしぶりが垣間見れて良い時間だった。バイクを借りようよ、というハルのリクエストを聞かず、たまには散歩も楽しいよ、なんてだましだまし歩いていたらいつの間にか10kmも歩いてしまっていた。悪い悪い。
でも旅がようやく目的地消費型だけじゃない、のんびりとしたものになってきたように思う。そうなるのに一週間もかかってしまった。
旅の醍醐味というか楽しさは、異国の空間にただいるということ、市井の人々の暮らしを眺めながら日々新しい発見があり、学んでいくことだったよな、と改めて。
周りにはツーリストレストランしかないので、ストリートで買ったお惣菜ともち米とビールをホテルで食べた。ついでにマンゴやスイカも買った。どの料理も辛いけれど美味しかった、このスタイルが最高かもね。
午後はバイクで市場に行って、メコン川を散歩して寺を廻った。ツーリストの姿はほぼ見かけず、昔ながらのルアンパバーンなのかもしれなかった。それはそれは美しかった。しかし、観光客が多いこの半島のメイン通りはほぼ全てホテルかレストランか旅行代理店だし、ハイシーズンはすごそうだ。それでもここが素晴らしい街ということには変わりないけれど。
そういえばラオスに入ってから一度も信号を見てないことに気がついた。観光地化しているとはいえ、ここはまだ十分田舎だった。
夕方にプーシーの丘に散歩に出かけた。
ルアンパバーンが全て見渡せ、川と森の中に赤煉瓦の屋根が見えて、たしかに美しい街だと思った。
このあとのコースを考えたんだけれども、次の目的地のアンコールワットがあまりにも遠くて、飛行機でバンコクに行ってしまうことにした。翌日の夕方の国際線を買ったものの、一人1万円ととてもリーズナブルだった。
Day09
朝、ハルを5:00に起こして托鉢を見に。夜も遅くまでつきあわされているのに、朝は相当な早起きを強いられる息子。
観光客の多いメイン通りにはちらほらとおばさまや子どもが座っている。お坊さんはおばさまからお米や食料をもらい、それを子どもや弱者に分ける。少しのお坊さんしかいなかったので、観光バスが止まっている方へ向かってみると、なんだこりゃ状態となった。托鉢が観光イベントと化していて、お供えの米を売るおばちゃんであふれているわ、通りに並んでお供えする立場になる中国人であふれているわ、スマホでそのあげている様を撮影する人々であふれているわ、とにかくすごいイベント感。風情もへったくれもない。
お坊さんもお供えがもらいきれず溢れすぎてて、雑。どんな気持ちでこの観光行為を続けているんだろか。ずーっとお坊さんについて行くと、ニヤッと笑いながら途中のお寺で一抜けする不真面目坊主。最後のお寺では「いやー今日の見世物も終わったね〜」と彼らがいっているように聞こえた。
WaterfallとGoogle mapで検索するとTad Sae Fallというのが出てきて泳げそうだった。確か昨日入った旅行代理店ではツアーで40ドルと壁に貼ってあったな。
そもそも今日は農村をプラリとバイクで見られないものだと思っていたから滝まで10キロという距離感はちょうどいい。
滝へは川を渡って行く形式だった。それもなかなか面白くて良かった。今日も泳ごうと思って水着を履いてきたのに水量が多すぎて無理だった。そのかわり2000円程で象に乗ることができてハルは大満足。タイの保護されて優しくされていた象と違って、ここではあくまで道具のように扱われてしまっていてちょっと可哀想だった。滝に乗ったまま入るというエンターテイメントもついてきてアトラクションとしてはとてもいいのだけれども。
お気に入りとなった屋台総菜屋で昼食を買ってきて宿でマンゴーとスイカと一緒に食べた。
それからトゥクトゥクを捕まえ空港へと向かう。一応国際線なのに一人1万円とはバックパッカーの旅行も新時代に入りつつあるな。
あっという間にもう来すぎて何度めかわからないバンコクに着く。空港でSIMカードに100バーツだけチャージして、バスと地下鉄のコンビネーションでファランポーン駅へ。宿に荷物を置いてから一週間前と同じ食堂に行く。我々を覚えていてくれた。やっぱりタイもタイ料理も最高だなぁとしみじみと。
朝4時にラオスで起きて、夜9時にタイの屋台で晩ごはん。実は明日も5:00起き、どんだけ連れ回されるんだハル。
慌ただしいけれど、平和な夜がふけていく。