首都圏を離れて一週間。今、僕は静岡県の富士山の西にある町で暮らしている。
町といってもここはかなり外れのほうなので、僕が住んでいるところは村と呼んでも過言ではないと思う。
旅をするように、普段の生活が送れたら最高なのになあと常々思う。そういう意味では、今現在の暮らしは旅だ。いつまで続くかわからないけど。
生まれて初めて、日本の田舎に居住している。それはまるで、田舎のばーちゃんの家にずっと遊びに来ているような感覚だ。正直かなり楽しい。毎日が発見の連続だ。だから僕は今の暮らしは旅だと思うのだ。
海外を旅しているときに味わった凝縮された面白さ、みたいなものをこの日本の暮らしで普通に発見できるなんて。なんか胸がときめいちゃうのだ。
最近、今まで畑だと思っていたところに水が入った。田んぼだったんだ、これも発見。
水が入るとすぐに、カエルの声がいくつもいくつも聞こえ始めた。その数は毎日増えているように思う。部屋からは農業用水の流れる音が終始聞こえて、バックでカエルが合唱していて。曇りの夜に道を歩くと真っ暗で何も見えなくて。草も木も元気に呼吸していて、年とったばーちゃんたちも大いに元気で。
みんな田舎に住もう!
夕方、まだ稲も植えられていない、水を張っただけの段々畑の水面が茜色に染まる。静かで美しくて、これが最近の僕のお気に入りだ。