3年前、2012の信越で自分はすべてを出し切った。しっかり練習もしたし、悔いなき結果も残せたし、もう満足だった。
ただ、その振り返りはこのように結んである。
https://www.tabibum.com/blog/?p=2739
「例えばそれは、来年出るつもりはないけど、仮に出たら、ということ。出ないけれど、仮に出たら目指すのは15時間切りだと思うし、できるんじゃないかなーと思う自分もいる。」
今年信越にもう一度、ちゃんと練習して出ようと3ヶ月前に決めた時、目標は必然的にこれにセットされた、15時間を切ること。思えば、少なからず目標に向かって日々練習する、という時間は、しかもこの歳にしてスポーツの目標というのは、非常に幸福な時間の過ごし方だったと思う。
結果は14:48、54位 / 606人。目標をクリア出来たのも感無量だし、上位10%に入ることができたのもとても嬉しい。今回こそ、悔いのない最終回だなーと思う。
それでは一応振り返り。
スタートから1A 1:45
いかに温存できるか、というのが5Aまでの課題。でも遅すぎはダメで、各区間5分くらいづつ早く走りたい。
まあ、あげすぎず下げすぎず、前にトモちゃんいたので話しながらそのペースでしばらく走った。10キロポイントでちょうど1時間。まあ、こんなもんか。1Aには1:45につきたかったので、あれ遅すぎる?と最後の3〜4分だけややダッシュ。無事時間通りに到着。ここまでの幾つかのポイントで朝陽の絶景があって絶叫する。やっぱ景色が最高だね。水も持たない手ぶらスタイルなので、ここで水を飲む。ジェル2本消費。
2Aまで 0:50
のんびりと斑尾山へと登る。
抜かれるのも良しとして、心拍は上げすぎず160未満をキープ。30分くらいで山頂へ。稜線のブナたちは美しかった。リフトまで出て、あと10分くらいか〜と時計を見ながら駆け下りず慎重に下る。予定タイムより5分はやく2Aへ。バンビにウエストを貰う。
3Aへ 1:50
水を一気に飲みすぎたのかタブタプで森のなかへ。森のなかは普段ならもっと気持ちが良くて快走できるのに、なんだか既に調子わるし。しかも変なところで転んでチョウケイと腰が痛くなってしまった。ウエストを外してストレッチする。この森は一番好きなパートで、美しすぎるなーと感動する。きっかり1時間で袴岳。ちょっと遅すぎだなーと思い、ややはやく林道は下った。それでもたくさん抜かれた。さっき予定より5分速かったか5分遅くてもいっか、と思うことにして焦らず進んだ。エイドに着くと弟や真也のサポーターは見当たらず、かわりに二郎くんとさいちゃんがいてサプライズ。水とコーラをちょっとだけ飲んですぐ出る。ここまでジェルを4本消費。
4Aまで 1:45
ちょっと止まっただけなのに、足はビッコを引きずる違和感。走れば治るかな、とゆっくりと走ることにした。微妙な登り。気分がすぐれず、早くは進めない。5人抜かして5人に抜かれる、そんな感じのペース。いつも通り45分で橋のふもとまで。ようやく登りだ、歩けるぞ、と花がすっかり枯れた蕎麦畑を進む。坂を登りきるとこれまたややぐったり。平らなところを少し進むと希望の沢。足をつけて3分くらいダラーっと。水は沢から直接ゴクゴク飲んだ。これでちょっと回復した。森のなかは下り基調なので気持ち良く快走。調子の悪い時間帯は過ぎたな、と思った。波があるのがロングレース。負の時間はすぎるのをじっと耐えれば良い。完全に予定時刻通りにエイドへ。バンビがいてトモさんがいて、そして大学の先輩スミさんも!元気になってすぐにエイドを出た。ジェルは4本消費。
5Aまで 1:50
やっと歩きまくれる登り!と嬉しい。iPod作戦で楽しく、つまらない林道を上がる。おなじみのスガシカオ、ハナレグミ、ブルーハーツにハイロウズ。心拍が135を切れば登りでも走り、辛くなったらやめる。その繰り返し。ちょうど1時間で林道は終わりトレイルへ。やはりチョウケイが痛くて右膝が曲げられなかった。なので右は伸ばしたまま、変な格好で、でもテンポよく下る。下ったとこでまた沢の水を飲んだ。もういいや、このスタイルで、つーかボトルもいらなくない?
橋を渡ったところの苦手な激坂は人を捕まえて話しまくり作戦。話してたら坂は終わった。その後の森はやや辛かったけど、そのままついていく作戦でやや頑張る。グリーンハウスの白い建物はトイレ脇の水飲んで足も冷やしまくる作戦。ウッドチップはこれまた歩いちゃいけない作戦だったのに、ついに登りで足が止まる。まあまあ辛いなぁ。温存できてなくねーか?と疑問に思いながら。すると小柄な女性に軽やかに抜かれていくではないか。彼女は美人に違いないと想定して尻を追っかける作戦に切り替えエイドまで頑張った(速攻ちぎられたけど)13:58にエイドに着く。すでにかなり疲れてしまっているけれど、予定タイムより10分の貯金!みんなにあってパワーをもらって、あとはすべてスーパーペーサーの「バンビ」頼み!荷物は全部持ってもらったので、身軽過ぎて気持ち悪い。ここまでジェルは4本消費。
6Aへ 2:00
森に入るとお腹が痛い。「こんなペースでいいですかー」と言われるものの、「ごめんあんま走れないわー、特に登りは」と自分。下りではお腹が痛い。30分くらい経過して、これは治らないからキジを打ちに行こう、と決心しトイレットペーパーを握りしめ場所をハントしてるとなんと林道にトイレが!快適に用をたし4分くらいのロスだなーと思いながら、でもすっかり気分が良くなって復活。ここからのロードは登りは走れないし、歩いていいものだと思っていたんだけど、「走りますよ!」とバンビ。引っ張ってもらって走っては、辛くなって歩く。でもバンビがまた走り始めるので、ひえーと思いながらついていく。こんな鬼キャラだったっけ?と面白い。こういう引っ張り方もあるんだなあ。こんなペースで15時間切れるのかあ、と何度も聞いたけどその度に「大丈夫ですよ」と安心させる言葉が返ってきた。ようやく森に入って登りで元気になり(しかしトレイルはぐちゃぐちゃ)、登り切ったら楽しい下り!ここも予定時間通り2時間でエイドへ。ジェルとかの消費量はもうよくわかんないけど、40分ごとにバンビがジェルをくれたり、坂の上で水をくれたり、至れり尽くせり、大感謝。
7A 0:50
エイドでは水を2杯だけ飲んで出た。ロードを歩いていると、やはり引っ張られる。走れ!と背中が言っている。歩きたいなあとつくづく思う。歩かせてくれーと言葉が喉元まで出て飲み込み、走ってついていく。参道で足が止まった、ムー辛い。門のところから仕切りなおしでまた走る。一応予定通りのタイムでエイドへ。「何か食べてください」とバンビに言われ「もうなんも食えない」と言ったんだけど「固形物入れてください」と言われシャリ玉を3つ握りしめ、走りながら無理して食べた。ロードに出てから苦手な区間が続くも「走ってください」と監督。なんとか頑張る。すごいタイムオーバーしてるかと思ったけど予定より5分遅れでエイドへ。時間貯金は使い果たし、くしくも当初予定の時間とぴったりとなった。そばを食べてと言われたがもはや食べれなく、代わりにおかゆを一杯。美味かった。ここで会った噂のジッキーボーイスリムさんがかなりハイテンションで初対面なのに面白かった。
ゴールへ 2:48
まだうっすらと明るかった。こんなにも違うのかーと景色を楽しみ本格的な登りに入るまでライトはつけず、小走りして楽しく過ごした。ベスパを飲んで、登りはゆっくりと。平地を走るのと違って、登りは山だし走らなくていいから楽しい。約1時間で瑪瑙山。15時間切れるかはホントきわどいなぁと思った。でもこの実力以上の目標設定をしないで、ベストを尽くす走りが目標だったらどうなってたんだろうか。たぶん途中でだれてたと思う。まだ間に合うかもしれない、もしかしたらいけるかもしれない、そういった綱渡り的目標への執念で走っていた。1分たりとも休憩できていなかった。本当に辛いけどアホだけど、でもそれってなんのため?と何度も自問した。この場でぶっ倒れて寝てしまいたかった。やーめた、と宣言してもうのんびり走ろうぜ、とバンビに告げたかった。でもその度に思うのは、この行為はただの自己満足のためだけに行われてて、その自己満足を付き合ってくれている友人がいるということ。そう思うと最後の最後まで諦めるのはやめようと思った。
瑪瑙山の下りは膝が痛くて辛かった。喘ぎ声を出しながら下った。すると前方に岡部・荒川ペア。彼らも膝が痛いらしかった。そうだよなー、ここまで来たらみんな満身創痍だよ。下りきって森に入り、最後の登りがやってきた。思うように100キロポストの表示が現れなく時間ばかりが過ぎていく。ようやく100kmポストにたどり着くとあとリミットまで80分しかない。やはりギリだなと思いつつも、「1.8キロで林道ですよ〜」と神の声。林道に出ると19:30だった。
まだ行けるかな、とバンビに聞くと行けます、と。キロ8分で走れば目標クリアできますよ、と言われベスパを再び飲んで走り始めた。さすがに辛くて何キロ経過したー?まだ1キロですよ、何キロ〜?2キロいってません、という弱気な会話のやり取りが続く。バンビ作戦は背中を見せる作戦なので油断すると遥か彼方に背中がいってしまう。それをなんとか頑張って追う。この平地で走れなかったら、なんのためにランナーでもないのにランニング練習してきたんだよ、頑張れと自分を奮い起こす。「ここまでやって目標時間の1,2分オーバーとかいやですからね」とバンビ。そりゃそうだ、がんばろう。4キロ過ぎたら気が楽に。5キロ過ぎたらあとは下り。もう嬉しくなって叫びながら走った。するとバンビがかなりペースアップしてキロ4.5キロへ。スローな人をどんどん抜いていく。え!あの人も抜こうとしてんの?まさか遥か遠くのあの光も?という意味不明のハイパーペース。必死でついていく。そしてようやくゴールが見えた。多くの人に迎えられゲレンデを降りていく最後の瞬間はなんど迎えても本当に気持ちがいい。結果は自分でたてた予定時間より2分早い14:48。
今年の後半は楽しかったというよりはやはり辛く厳しい時間だった。でも頑張った後についてきた結果が目標クリアとなり、満足感と達成感で心は満たされていた。鬼教官に引っ張ってもらって実力以上のことができたと思う。ペーサーってすごいなぁ、もうずっとバンビには頭が上がらないなぁ。ただただ感謝しかない。
8:20にゴールしたけれど、その後7時間後の制限時間の3:30までいろんな人のゴールを見続けた。当然だけど、それぞれにいろんなドラマがあるようだった。こうして5度目の信越五岳は幕を閉じた。もう一分一秒たりともタイムを縮められなそうなんで、これにてファイナルなのかな?
と疑問形で結んでおく。