アコンカグアから帰ってきてから2週間が過ぎた。
あまり集中力が定まらなく、ぽわーっとしたまま過ぎた半月のような気がする。
その昔、1年と半年くらい旅をしていた時があるのだけれど、ほんの少しその時の気持ちに似ている。
その時、旅から帰ってきた僕は、現実の世界にすぐには馴染めなく。
東京で電車から見た外の光景にものすごい違和感を感じて、ここには住めないなと思った。そして静岡の田舎に3年間住むことになったのだけれど、少しだけ当時の感覚と似ていた。
20日足らずの短い旅と、550日の旅とでは長さを比べようがないが、それでも似ているような気がするのだ。それは若い時の感覚と今では、自身の時間軸が違うからかも知れない。
帰国後、翌日から仕事だったのだけれど、眠くて眠くて仕方なかった。そしてそれは1週間続いた。あまりにも眠くて、夜も起きてられずに、息子と一緒にくたばるように9時に寝た。毎日3時位に一度目が覚めるのだけれど、起きると時差ボケは解消されないと思い、しつこく朝まで寝た。それでも強烈な眠気は解消されずに、夕ごはんを食べた直後に床で寝てしまうなど、南米の破壊力に家族も驚くほどだった。まあ、ただの時差ボケではなかったと思う。5,500mの高度に4泊もした後遺症なのか?やはり何かが吸い取られるのだろうか?友人の山岳ガイドで、今回アコンカグアに同時期に行っていた優さんも回復にいつも一週間くらいかかると言っていた。
二度の週末を経て、自分と嫁さんの実家に正月の挨拶をしに行き、そして今日、月曜日。すべてが通常に戻ったような気がしている。
いろんな夢から覚めたような。
アコンカグアで敗退してから、天気が理由だと言い聞かせつつも、ああしてたらどうなっていただろうか、結局ダメだったかな、それならこうしてたらどうなっただろう、それでもきっとダメだっただろう。でもあそこはああすればよかったのでは。なんであの時、ああなってしまったんだろう、それはあれが理由だろうな。繰り返し心のなかでトライしては、やはり敗退し続ける。そんな後悔に似た感情がずっと湧き上がっていて、一緒に行った友人の言葉を借りれば、気がつけばため息をついていた。最高の仲間と、最高の経験をしたのだけれど、それでも結果が欲しかったなあとつくづく思った。
半年前くらいからゆっくりと計画して、いろいろ調べては遥か彼方に思いを馳せて。久しぶりの充実した日々だったし、こんなにたくさん遊んだもの久しぶりだし、もういいだろ遊ばなくて、と心から思えた気がした。遊びをやめて、違うベクトルに進んで、違う前進をしよう。遊びはもう終わりだ、と。
本当に本当にそう思っていて、割り切っていたのだけれど・・・・しかし何か心の隅でモヤモヤともムクムクとも表現できるような感情がくすぶっているのだ。
これはやっぱり、不完全燃焼で頂上に立ててないからなのだろうか。