目覚ましは4時30分。
しかし、3時30分にはもう寝ていられなくなった。
周りが騒がしいのだ。すでにほとんどの人は起きていて、食器の金属音や「ごぉーーー」というガスバーナーの音が響いていた。仕方なく4時にトイレにと起きると、「ざっざっざっ」と山小屋から10人くらいの団体がヘッドランプをつけながら降りてきた。もう出発だ。
なんで日本の山はこんなに忙しないんだろう。もうちょっと自然でのんびり、というのはないのかねえ。ヘッドランプつけて歩いてもぜんぜん楽しくないし・・・
そういう僕らも6時には出発。
なぜなら今日の目的地、欅平(けやきだいら)のトロッコ列車が団体客でいっぱいらしく、11:00に着かないと、15:00くらいまで待つことになるよと山小屋の人に脅かされたからだ。
コースタイムは5時間。ギリである。
最初は登り。
30分くらい登るとあとは平らな道となった。
昨日と同じく山の斜面を切り取った道。
ただ、昨日の道を歩いた後ではまったくハードではない。時折、空中に浮いているような道もあり高度感は相当なものだが、それでも昨日と比べたら余裕である。
この道は水平歩道と呼ばれている。名前の通り、ほとんどアップダウンがなく、高低差てきには水平な道がずーっと続く。
↓一列で歩くトレッカーたち
滝を通り、暗く長い水の流れるトンネルを通り、ようやく谷に陽がさしてくる。
黒部湖では紅葉真っ盛りだったのに、ここまで来ると紅葉はほとんど見られない。太陽の光に葉が青々と光り、まるで新緑のよう。
人一人しか通れない細い道が続くので、なかなか休憩するところがない。
でも水平なので疲れることもなく、歩き続けてしまった。
欅平のトロッコの駅が途中から見え、鉄塔を過ぎたところから30分密林を下る。
10時、出発から4時間。無事欅平に到着した。
歩き切った充実感を久しぶりに感じる。
11時のトロッコに乗り宇奈月へ。トロッコ列車は観光客で満載だった。
この列車には今から10年ほど前に乗ったことがある。
当時山のことなんてほとんど知らなかった僕らは、友人と一緒に5人で黒部に入り、今思うとわけがわからないが、登山道でもない斜面を突如登り、そして友人2人が見事滑落。1人は骨折、僕らは工事現場の小屋みたいな場所で一夜過ごした。
翌朝には、もう1人行方不明になっていた友人が焦って呼んだ警察のヘリコプターが僕らを探していた。
新聞地方版に載り、宇奈月の派出所にもお世話になった。
あのときの山岳警察はやさしかったなあ~。
などなど、昔を瞑想しているうちにトロッコは宇奈月に到着。
蕎麦を食い、宇奈月温泉からローカルで新魚津へ。特急はくたかで越後湯沢。そこからは新幹線。
家には18:00には着いていた。
遠いと思っていた下の廊下も意外に近かった。
それにしてもあのスリル感はすごかった。
いつか又、誰かと行くだろうなあ~
◆参考リンク
阿曽原温泉小屋
立山黒部アルペンルート