死なない道を歩いた。
No die street.
ここは、Destinyが反転する場所。
建築家、荒川修作とマドリン・ギンがつくった広大なアート、養老天命反転地。
“現在の世界の絶望的な状況を希望ある未来へ。「死」を前提とした消極的な生き方を改め、古い常識を覆すことが必要である。この死へいたる「宿命(天命)」を反転することを使命として荒川+ギンズは活動を続けてきた。彼らは身体感覚の変革により意識の変革が可能だと考えたのだ”
どこが地面でどこが天井なのか。
横にあるものは、壁なのか、果たして地面なのか。
ここにいると、確かに平衡感覚がおかしくなってくる。
キッチンとソファーは壁に突き抜け、我々の世界で言うところの天井に、ベッドやトイレがくっついているのだった。
楕円形のフィールドには様々な道と、9つものパビリオンが点在する。
背後の山と空のコントラストがすばらしい。
そしてここはあまりにも広大だ。
いったい誰がここに、どのような力や背景がこれを創ることを可能としたのだろうか。
No die street
「死なない道」と書かれた道を進んだ。
私の運命/天命は反転したのだろうか。
死はもはや目指すものでなく、生に向かうベクトルへと変換されたのだろうか。
そのドアはどこかへ続いていた。
天国なのか、宇宙船へとなのか、はたまた生なのか死なのか。
いずれにせよ、昔からわかりきっっていたことを、この地で再認識した。
なにをどうしようと、世界が反転しようと、全ての生きとし生けるものにとって、かならず死がやってくる。
それは、この世に生を受けたときから、誰にでも用意された平等な権利である。
その死を覆すことに成功したものは誰もいない。
天命を反転させた荒川修作にも、それはいたって普通のこととして訪れたのだから。