NOTE
日本でのバックカントリーのシーズンは11月からはじまる。
僕の場合は、それは立山を指す。
11月といえば、東京はまだ紅葉さえしていないが、3,000m級の山々は雪に閉ざされ始める。そんな中、雪が豊富で簡単にアプローチできる立山に向かうのだ。
雪深いこの地は例年11月末に交通機関が止まり、翌年のGW前にまた開かれる。最後の瞬間を狙ってのバックカントリーだ。
近年大人気となっているようで、週末は人だらけ。今回入った11月の最終日曜日もまるでゲレンデのようにたくさんの人がいた。
キャンプをするので、荷物は30kg。なに、バスに載せるだけだから簡単さ。
まずはトンネルの中を走るトロリーバス。それを降りると黒部ダムを15分ほど歩く。ここはさすがに荷物がずっしりくる。
次に、ケーブルカー、ロープウェイ、最後はまたトロリーバスと、1時間半かけて2,400mの室堂に到着する。
まるでトンネルでワープして、突然北アルプスの中心に出る。そんな感じだ。あたりは一面雪景色。今年は雪が多いいみたい。
15分歩いて、室堂山荘の脇へ。山荘はもう終了しているので、雪を掘ってテントを立てさせていただく。するともうお昼。さて、今日はどこへ行こうか・・・
一の越し、浄土山も国見のあたりも以前一通り滑ったことがある。今回は真砂岳を行けるとこまで行ってみようということになった。山荘付近からそのまま滑降し、川沿いに賽の河原と呼ばれるところまで出てから、尾根を直登。
3時半まで上り、適当な場所からドロップした。
雪が降ったのは3日前で、週末に相当荒らされてしまったが、キレイな沢筋が残っていたので気持ちがよい。ふ〜!
テントに戻ってから、10分歩いて、室堂ターミナルにトイレがてら水を汲みに行く。ホテル売店でビールが400円。前日が徹夜だったのでその場で飲んだらウトウトしてしまった。
立山は完全なる雪山である。本格的な。
だが、この時期はこうして、落ち着ける場所、逃げ場があるのが非常に助かるのだ。シーズン始めで気が緩んでいるから、ちょうどいい気がする。
テントに戻って鍋。21:00にはやることが無く就寝。
翌日も快晴だった。
2日目の今日が、一番長い行程をすすめる日。どこに行こうかいろいろ迷ったが、例年のお決まり、雷鳥沢に向かうことに。
再び賽の河原へ。そこから夏道を登る。最後の部分にカリンカリンの核心部が待っていて、毎年緊張するところだ。いつもピッケルを持ってくるべきだな、と思いつつ、ストックで済ませてしまっているが、いやー今年も緊張した。
テント場から約3時間半で剣御前小舎へ。待望の剣岳が見え、日本海まで見渡せる絶景。
雷鳥沢のコンディションがどうだとか、そんなんじゃなくて、やはり立山までBCで来たら、一回はここに上がってきて剣岳を展望したいな〜。やっぱりいいな〜と思うのであった。
剣御前へ上り、剣沢へと滑り込む。相当パフパフで絶叫。きもちいい〜!
再び剣御前小舎へ登り返す。空には虹がかかっていた。
そして雷鳥沢。雷鳥沢は立山のバックカントリーの象徴だと思う。長い長いダウンヒル。
ただ今回はコンディションがいまいちであまり快感を得られなかったのだが、でもそんなことはどうでもいいのだ。
北アルプスの、すばらしい山々に囲まれ、周りには仲間しかいない無人のような荒野で、今年も滑降を始められたこと。ただそれだけがすばらしい。
今日も昨日に引き続きすばらしい夕焼けを見ることができた。久々に息を呑む光景が見られた。
3日目。朝から天候は崩れ、ターミナルに向かった友人が迷って帰ってきた。GPSを携えた別の友人が足跡を付けてくれた。天候は回復しなさそうなので下山することに。
やはりここは深い雪山なのだ。
吹雪に見舞われたことも数多くある。テントに停滞したこともある。テントを風で壊されて撤退したこともある。
だからただ晴れて滑れることがどんなにすばらしいことか、僕らは知っている。
さあ、今年も雪シーズンが始まった。
ワクワクしながら、安全に滑りたいものです。
Link → 2008年の記録
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