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NOTE

powderではないが、例年、締めとする富士山バックカントリースノーボードのレポート。
たかが富士山・されど富士山。日本最高峰は、やはり日本一の威厳を放っていた。これまでの通算成績は2勝2敗。
2度敗退したのは、いずれも天候不順によるもの。最近の季節が読めない、日本では当然の結果かも。
5月上旬に、雪が残ってる北側を攻めたときは、登れたけど8合目以下は雪なし。最近は雪解けが早いとみて、挑んだ翌年4月下旬はカリンコリンのアイスバーンで危うく滑落するとこだった。そんなこんなでなかなか毎年、見極めというのが大変な山なのである。

今年はパウダーガイド社の友人に誘われて、11名という大所帯で登った。大御所的な人もいて、玄人軍団でいろいろと勉強になった。

7時富士宮口発。さすがに冷え込む。6合目までは砂利道を行くが、一部凍った道もある。今年はアイゼンを持ってきていないので、早く暖かくなってくれることを願いながら歩く。

6合目を越えると、ちらほらと雪がついてきた。6.5合くらいからはもはや雪。急な斜面で誰の足跡もないと、つま先を蹴り込まなければならず、なかなか油断ができない。ぽかぽかの陽気で、インナーだけでも暑いと思っていたが、さすがは単独峰、それも日本一。8合手前でついに、風が来た。ブリザードのような風が、時折来て、ボードを揺さぶる。風がきたら低姿勢で風が去るのを待つ。風がやんだら駆け上がる。そんな調子で進んだ。

8合を越えると、雪が硬くなってきて、斜面も急になってきたので、先に進んでいる人がきってくれたステップを踏みながら、進む。やはりアイゼンが必要だったな、とつくづくと思った。
今日は土曜日、たくさんの人が登りに来ていたから、それが幸いした。先行組みがいなかったらなかなか苦しかったかもしれない。

9合についたのは11時。雪が程よく溶けてきた。いいぞ、いけそう、とうれしくなる。
9合5尺からは最も急な核心パート。ここからは登山者も一列、ステップが深く刻まれるようになり助かった。しかし、アイゼン無しに危険を感じて、アックスを借りて、それを斜面にさしながら進む。写真を構えると、風であおられて、不安定になり危険極まりない。

5時間後、無事日本最高峰に到着。鳥居の半分くらい雪で埋まっていた。今年は全体的に雪不足だったが、寒い春で、春にたくさん雪が降ったので、例年より雪もちがいい気がする。しかも2日前に新雪が降ったようで、いつもなら雪の上にちりばめられているスコリア(細かい溶岩)もなく、なんとも気持ちよく滑れそうだ。

1時過ぎ、日本最高峰から海を臨みながらのダウンヒル。もーさいっこう!
はじめは硬い雪も、標高をおとすにつれてだんだんとやわらかくなってくる。9から8ぐらいが一番滑りやすいかな。それ以降は重くなるのでパワー任せ。


脇にたくましい溶岩を添えながら、広大な一枚バーンを海と雲海を見ながら滑る。
それも都心から2時間。時期と天気にさえ恵まれれば、最高の思いができるはず。
次回はアイゼンをもってきて、火口に下りてみようかな・・・そんなことを思った、今シーズン最後の滑りだった。

6合目から再び歩くと、川の音が聞こえた。富士山は川がない山として有名だ。溶岩質のため、水がすべて下に浸透してしまうのだ。

雪解け水が多いこの時期だけ、聞こえる音。それは春の音だった。
もうじき、日本最高峰も春を迎える。

2010年の富士吉田口滑降の記録はこちらから→
※このページの本記事は富士宮口で、上記リンク先と以下情報は北斜面、吉田口のものです

動画はこちら


同じく吉田口のGPSルート

より大きな地図で 富士山BC を表示

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DATA

Date
2007.5.11

Route
登山口としては最も高い2400mに位置する富士宮口スタートの南斜面。
南だけに雪が溶けるのも早い。
登りは休み休みで5時間。下りは写真をたくさん撮りながらのんびり下って2時間ほど。

Access
東名東京ICから2時間。御殿場IC降りてからもコンビにはある。
前日に寝るなら、水ヶ塚駐車場がいいだろう(トイレあり、飲み水はなし)。
例年、スカイラインは夜間通行止めとなっているが、下り線から入れてしまう。

Acomondation
今回は東京6時発。

Map
昭文社エアリア、富士山

Information
道具がずたずたになるので、一昔前の装備で挑むべし。

 

 
 
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