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知らぬが仏の砂漠道 (パキスタン)
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強制コギコギのおかげで、何とか予定通りムルターンに18日に到着。明日は22歳の誕生日である。当然のことだが、誰も「誕生日おめでとう」と言ってくれる人はいいだろうな。こんなの生まれて初めてだ。パキスタンの一都市で、一人寂しく誕生日を迎えることになるとは、今まで想像したことすらなかったなあ。まあそれも一興さ。

 20歳の時、アジアを旅する若者が書かれている本を読んだ。ぼくの不確かな記憶では、そこには自転車に乗った21歳の青年が登場した。彼はアジアを走っていた。そのときぼくは、一つ年上なだけなのにすごいことをやっている奴がいるなと感心したものだ。またぼくは思った、自分は21歳の時に何をしているんだろうと。どうせ日本で普通の大学生生活でも送っているのだろうかと。

 しかし、21歳になったぼくは、彼と同じく自転車で世界を旅することになった。それも、大義名分などなく、彼女に振られたからという理由で。

 日本を出て半年、旅を続ける中でぼくの心の痛みは徐々に徐々に薄れていった。それとは逆に自分に対する自身が少しずつ付いてきてもいた。大丈夫、ぼくはもうどこでもいつでも一人でやっていける。それよりもぼくはこの旅のきっかけとなった彼女に感謝すらしていた。
 21歳最後の夜、ぼくは昔の彼女に最後の手紙を書いた。
 明日からまた新たな道が待っているのだ。

 

 

 

 

 

 

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